『タイタニック』実話を映画化!超大作だが秀作か愚作かを検証ー後編
- 映画『タイタニック』は秀作?・愚作?
- 身分による差別シーンは必要だったのか?
──────────────────────────────── - 『タイタニック』実話を映画化!超大作だが秀作か愚作かを検証ー前編
映画『タイタニック』が秀作なのか、愚作なのかの検証の後編になります。
前編をご覧になっていない方は、こちらからどうぞ
私はこの映画を決して愚作だなどとは思ってはおらず、評判通り秀作であると思っています。
巨大客船タイタニック号が沈没するシーンは大迫力そのもので見応えがありましたし、ジャックとローズのラブストーリーも悪くはありませんでした。
ただ先ほども申した通り、ウィンスレットがもう少し細身だったら申し分なかったのですが、それだけが少々残念であっただけで、まずまずのラブストーリーであったと思っています。
先の悪評で「不倫だから」との意見もありましたが、法的に反していたとしてもまだ婚約中で、しかもその婚約も親が強引に進めたものですから、ラブストーリーとしては決してダーティなものではないと思いますね。
その他、極限状態の人間の様々な行動や身分差別など、多くの要素を盛り込んだ大作であたことは確かです。
それらのことからこの『タイタニック』が大作且つ秀作であることに疑いはないのですが、私が感じることとして、ある要素につながりのないことが愚作と評される原因ではないかと思っています。
映画(ドラマ)には、必ずメインテーマが必要です。
その映画で何を訴えようとしているのか。それをメインテーマに担わせなければならず、そのメインテーマ以外は全てメインテーマを支え、持ち上げる役目でなければなりません。
例えばバックコーラスはメインの歌のバックであってこそ、歌手の歌を引き立たせることになりその役目を果たせます。
ところがそのバックコーラスが別の歌を歌ったり、歌手より大きな声を出したりすればその歌は台無しになってしまいます。
『タイタニック』のメインテーマは何でしょう。
タイタニック号沈没という海難事故がメインテーマでしょうか。
タイトルが『タイタニック』ですからタイタニック号の海難事故がそうとも言えますが、この映画のメインテーマは海難事故ではありません。
同じ海難事故を扱った『ポセイドン』の場合はポセイドン号の海難事故そのものがメインテーマでしたが、『タイタニック』ではタイタニック号の遭難事故を通してのジャックとローズのラブストーリーがメインテーマです。
ここで『タイタニック』のメインテーマであるジャックとローズのラブシーン以外の要素をひとつずつ見ていきましょう。
その最大の要素がタイタニック号の沈没事故で、この事故が二人の運命に大きく作用しています。
他には沈みゆく船で演奏していた楽団員、船と運命を共にした老夫婦、我先にボートに乗ろうとした醜い人たちもいました。
これらのシーンはラブストーリーとあまり関係がありませんでしたが、いずれも比較的小さな出来事であり、メインストーリーを阻害するものでもありませんでした。
しかし最も気になったのが身分差別のシーンでした。
この身分差別に係わるシーンはキャメロン監督が強調したいことの一つであったため、随所に見受けられました。
例えば2等・3等船客が質素なところで過ごしている一方で、1等船客は豪華な食事と一流の楽団の演奏付きで優雅にダンスをしているシーンなど、その格差を強調しているシーンが数多く見受けられました。
また避難時も1等船客が優先で、3等船客は船底に放置されたままなどです。
この身分差別のシーンこそが、この映画のメインテーマを大きく阻害していたのではないかと私は思っています。
もしこの身分差別が船内での二人の運命に大きく係わっていたのなら話は全く異なりますが、私の見た限りそれはあまりなかったと思います。
あるとすればジャックが上流階級ではないので、ボートに乗れなかったことくらいですが、それだけならあれだけ差別を強調する必要はありません。
つまり私が言わんとするのは、この映画の中でこの身分差別だけが浮いてしまっているように感じたのです。
そのために、メインテーマであるラブストーリーに対する思い入れが薄まってしまったというのが私がこの映画を見終えた時の率直な印象です。
歌に例えるならバックコーラスが歌手とは別の歌を歌っていたようなもので、私のこの解釈が間違っているのかどうかは分かりませんが、ただ見終えた後に「何かやたら身分差別を訴えていたように感じたんだが、いったいあれは何だったのか?」と、怪訝に感じたことは本当のことです。
以上が私の見解になりますが、『タイタニック』をご覧になった方はこの映画をどのように感じられたでしょうか。
今回の『タイタニック』の評価は2回に分けなければならないほどえらく長くなってしまいました。
ちょっと私は考えすぎかもしれませんね(笑)
それではこれで映画『タイタニック』の評価を終わらせていただきます。
長々とすみませんでした。
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